日本調理科学会大会研究発表要旨集
2025年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2E-3
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水の硬度がごぼうの煮熟調理に及ぼす影響
—食塩、ショ糖が共存した場合—
*田中 里奈秋山 聡子池田 昌代鈴野 弘子
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抄録

【目的】演者らはこれまでに、煮物調理における煮熟水の硬度と調味料添加が食材に及ぼす影響を明らかにしてきた。本研究では、煮物材料として使用頻度の高いごぼうを対象とし、硬度の異なる水に食塩、ショ糖を添加した煮熟水で加熱し、物性および組織への影響を検討した。

【方法】ごぼう(熊本・群馬県産)は皮をむき、直径1.5~2.0cm、長さ1cmの円柱に切裁した後、純水に5分間浸漬し、その後15分間煮熟した。煮熟水は純水、南アルプスの天然水(硬度:30mg/L)、エビアン(304mg/L)、コントレックス(1468mg/L)とし、調味料無添加、およびそれぞれに1%食塩、3%ショ糖、1%食塩+3%ショ糖を添加した計16種類とした。加熱後の煮熟水はpHを測定した。ごぼうは、クリープメーター(RE2-33005S)で破断強度、原子吸光光度法によりNa、K、Ca、Mg含有量を測定した。走査型電子顕微鏡(TM4000Plus)で組織を観察した。

【結果】煮熟水のpHは、エビアン、コントレックスで煮熟後に有意に上昇した。ごぼうの破断応力は、同一硬度の水では、無添加、ショ糖、食塩+ショ糖添加と比較して、食塩添加で有意に小さくなった。同一調味料では食塩添加において、純水、南アルプスの天然水、コントレックスと比較して、エビアンで有意に小さくなった。ごぼうのK含有量は、煮熟水の硬度に関係なく食塩を添加すると増加する傾向がみられた。Ca含有量は、同一調味料の比較では、水に含まれるCa量に比例して増加した。組織観察では、表面部、中心部ともに、水浸漬や煮熟によって細胞同士の隙間が大きくなっていることが確認された。さらに、細胞壁が波打ち、中層部分の接着が弱まっている様子もみられた。

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