1995 年 41 巻 3-4 号 p. 130-144
図書館間相互貸借のための図書館ネットワークの有効性やサービスの集中・分散を分析する枠組みとして,依頼館で発生した利用要求が受付館のサービスに変換されるプロセスの数理モデル(ILLネットワーク・モデル)を作成した。モデルは,個々の資料に対する利用要求が,その資料を所蔵する受付館に割当てられることに基づいている。このモデルを基礎として,受付館のサービス容量(サービス可能な最大量)の制約下で,ネットワークにおけるサービス集中度が一般にどの範囲に存在しうるかを記述した。さらに,サービス集中度の上限をネットワーク中の最大のサービス容量を用いて,また下限をサービス容量の集中度と受付館数を用いて示した。