2013 年 12 巻 10 号 p. 699-716
本稿では経営学におけるイノベーション研究の嚆矢のひとつともいえるAbernathy and Clark (1985) を取り上げる。彼らはイノベーションに技術/生産の軸に加えて、市場/顧客の軸を導入し、イノベーションを四つに類型化した(変革力マップ)。これは、Christensen の一連の研究の基礎となっている。しかしながら、Abernathy and Clark (1985) では市場/顧客の観点にあまり重きを置いていなかった。本稿では、その後の主要な研究を紹介、Abernathy and Clark (1985) との対比をしていくことで、最終的に、Christensen によって市場/顧客の重要性が認識されるに至ったことを示す。その上で、あるべき変革力マップ像を提示する。