橋結合腕傍核(PB)は,Kolliker-Fuse核(KF)を含む複合核であり,呼吸調節中枢として知られている.新生ラット(0-4日齢)から摘出橋-延髄-脊髄標本を取り出し,PBがどのように呼吸に関与するのか調べた.PB刺激により,C4吸息性活動は,一過性の抑制か吸息相の終了を示した.このC4吸息性活動の抑制は,NMDA受容体遮断薬により減弱し,GABAA受容体遮断薬によって消失した.また,PBで記録された呼吸性ニューロンのほとんどが吸息-呼息(I-E)ニューロンだった.PB刺激により,延髄の吸息性ニューロンはIPSPsを受け,呼息性ニューロンはEPSPsを受けていた.このことより,PBは無意識的な呼吸から意識的な発声へ切り替えるモードスイッチ機構であると考えられる.