自律神経
Online ISSN : 2434-7035
Print ISSN : 0288-9250
シンポジウム 6
痛み情動の生物学的意味を考え直す
加藤 総夫杉村 弥恵高橋 由香里
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2019 年 56 巻 3 号 p. 123-127

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抄録

痛みは「不快な感覚的かつ情動的な体験」である.侵害受容の直接的結果として生じる痛みや慢性痛として原傷害の治癒後に訴えられる痛みのいずれも「情動」に関与する脳部位群(扁桃体,側坐核,島皮質,帯状回,前頭前皮質など)の活性化をともなう.さまざまな情動に関わる扁桃体は,慢性痛が改善しない腰痛患者での自発痛に伴う活動亢進,および,慢性痛モデル動物での腕傍核-扁桃体路を介した活性化とシナプス増強を示す.扁桃体は「身体の状態をモニターし,それに応じて脳活動を制御し,感覚・行動・内環境を最適化するハブ」であり,それが「情動」の生物学的機能であるという仮説を提唱する.

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© 2019 日本自律神経学会
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