2020 年 57 巻 1 号 p. 10-14
レビー小体病(パーキンソン病,認知症を伴うパーキンソン病,レビー小体型認知症,レビー小体を伴う自律神経不全症を含む)では,シナプス前終末に存在するαシヌクレインが凝集して,中枢神経系と末梢自律神経系の両者にレビー小体やレビー神経突起を形成する.病理学的に視床下部,Edinger-Westphal核,迷走神経背側核,胸髄中間質外側核,仙髄中間質外側核にはレビー病理像はほぼ例外なく観察され,末梢では交感神経節に加え,末梢臓器の自律神経線維終末にも出現する.長期間にわたり自律神経障害だけが顕在化するレビー小体を伴う自律神経不全症では,末梢自律神経系のLewy小体の形成が,必ずしも中枢神経系に一定の速度で進展しないことを示している.