2020 年 57 巻 1 号 p. 15-19
Parkinson病(PD)の発汗障害について解説する.1. 起立性低血圧を伴うPD患者の定量的軸索反射性発汗試験と心電図R-R間隔変動のスペクトル解析,MIBG心筋シンチグラフィとの比較検討では,PDの自律神経障害は,心臓交感神経や心血管系に比べ発汗系が最も軽微である.2. PDのオフ時はオン時に比較し発汗量が多かったとする報告がある.3. PD3例の発汗発作にゾニサミド25~50 mg/日が有効である可能性がある.4. レビー小体型認知症の中には,寒冷による多汗を呈する一群がある.PDでは発汗神経の障害は軽度で,発汗異常は視床下部を中心とする体温調節障害により生じている可能性がある.