2020 年 57 巻 1 号 p. 51-55
脳脊髄液減少症の診断の第一歩は,病歴の詳細な聴取である.特に片頭痛,緊張型頭痛,薬物乱用頭痛をベースに脳脊髄液減少症を発症してきた場合には,複数の頭痛について根気強く病歴を聞いて,解きほぐして,ベースにある頭痛とともに新たに発症した脳脊髄液減少症(通常,鎮痛薬が効かない慢性連日性頭痛,起立性頭痛)を病歴で疑う必要がある.起立性頭痛を呈する体位性頻脈症候群の鑑別でも病歴は重要である.脳脊髄液減少症の発症初期は安静だが,体位性頻脈症候群では可能な限り安静を避けるようにするといった対応が必要であり,2つの疾患の鑑別は重要である.脳脊髄液減少症の経過中に体位性頻脈症候群に変わってくる症例への対応も重要である.