自律神経
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シンポジウム
実験動物における迷走神経の光遺伝学的操作
佐々木 拓哉
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2021 年 58 巻 1 号 p. 125-132

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抄録

実験動物を用いた迷走神経活動の計測や操作により,その生理学的特性が多数明らかになってきた.近年では,中枢神経系の研究分野で汎用されている光遺伝学的手法が,迷走神経にも適用され始めている.従来は,実験動物において迷走神経を活性化する手法として電気刺激が主流であったが,この方法では求心性や遠心性の方向選択的刺激,あるいは各臓器と連絡する多様な迷走神経を完全に区別して刺激することが難しかった.光遺伝学的手法では,特定の迷走線維種のみに光感受性分子を発現させることで,その線維を選択的に光刺激により活性化させることができるため,より高い精度をもって,多様な迷走神経の活動を操作できる.本稿では,光遺伝学的手法を迷走神経に適用し,生理学的特性を調べるため最近の研究について概説する.一つ一つの知見は未だ散発的ではあるが,同様の知見の蓄積により,より体系だった迷走神経生理の理解に繋がると期待される.

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© 2021 日本自律神経学会
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