日本水処理生物学会誌
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総説
薬剤耐性菌と耐性遺伝子の削減における消毒技術の現状と将来展望
古川 隼士Mohan Amarasiri上野 崇寿清 和成
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2022 年 58 巻 1 号 p. 9-24

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抄録

薬剤耐性菌(ARB)と耐性遺伝子(ARGs)による水環境の汚染が問題となっている。現在の下水や排水の処理システムは必ずしもARBやARGsの除去を目的としておらず、下水処理場や合併浄化槽などの小規模排水処理システムはARBの主要な排出源であると同時に、ARGsの水平伝播のホットスポットであると考えられている。そのため、ARBへの感染リスクを低減するためには、下水処理場などにおけるARBやARGsの消長を明らかにする必要がある。本稿では、下水処理プロセスの三次処理となる消毒に焦点をあて、現在用いられている各種消毒技術を利用したプロセスの、ARBやARGs削減に関する利点、欠点とその改善に向けた取り組みについて概説した。また、ARBやARGsの水環境中への排出削減に向けて、今後望まれる方策や新技術開発など、更なる研究の方向性についてまとめた。

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© 2022 日本水処理生物学会
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