自律神経
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神経学的検査:皮膚生検
平井 利明
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2021 年 58 巻 1 号 p. 38-48

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抄録

皮膚生検によって得られた組織に対して,PGP9.5抗体による免疫組織化学を共焦点レーザー顕微鏡下で行うと,表皮内神経は表皮細胞間を走行するように描出された.透過型電子顕微鏡を用いて,我々の固定条件であるリン酸緩衝液の濃度を0.08 Mに設定し表皮細胞間の超微形態を観察すると,ケラチノサイトの収縮は少なく,微絨毛のかみ合い構造がみられ,ケラチノサイト,軸索,メラニン細胞,ランゲルハンス細胞の4種の突起構造をケラチノサイトの細胞間腔に認めた.軸索は電子密度が低く,シュワン細胞の基底膜を持たず細胞内小器官に乏しく,ケラチノサイトの形質膜に直接に接していた.他の突起構造と異なり,軸索は細胞間隙と定義した大きな細胞間腔を認めず,突起の形状は円または楕円形であった.近年ではPGP9.5抗体を用いた皮膚生検は小径線維ニューロパチーの診断に欠かせない検査法となり,自験例を踏まえてその重要性について考察する.

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© 2021 日本自律神経学会
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