2021 年 58 巻 1 号 p. 55-58
ギラン・バレー症候群(GBS)は代表的な急性免疫性ニューロパチーであり,糖脂質抗体による補体介在性神経障害が主病態である.自律神経障害はGBSの重症例で頻度が高く,死因として重要である.糖脂質抗体陽性例の多くで抗原の局在が神経障害の分布を規定するが,自律神経における標的抗原は未同定である.GBSの自律神経病理では炎症細胞浸潤を伴う脱髄が迷走神経に優位であり,ミエリン蛋白を感作した実験的ニューロパチーモデルの一部でも確認されるが,抗糖脂質抗体陽性家兎GBSモデルでは確認されていない.自律神経障害を呈するGBSの管理においてposterior reversible encephalopathy syndrome,たこつぼ心筋症等の末梢神経系外合併症にも注意する必要がある.