2021 年 58 巻 2 号 p. 175-181
私達は,視覚のnon-image-forming pathwayとimage-forming pathwayを駆使して,中枢時計を調整し周囲の状況を監視している.前者では,メラノプシン含有網膜神経節細胞が光に反応し,その信号は視交叉上核や視蓋前オリーブ核に投射され中枢時計の調整や瞳孔反応に関わる.後者では,錐体・桿体細胞で信号化された視覚情報は後頭葉へ伝搬されその後背側路と腹側路に送られる.これらをbottom-up回路と呼ぶ.腹側路を経た視覚情報は,視覚記憶と照合されつつ上位中枢のtop-down回路により修正され脳内に内的画像が形成される.この画像の正誤は,上位中枢のreality-monitoring機能により判断される.Parkinson病では,両者のpathwayが障害され,中枢時計の変調により睡眠障害が,視覚情報処理の障害により幻視が惹起される.