2021 年 58 巻 2 号 p. 182-185
栄養精神医学は,精神疾患の予防・治療経過,そしてメカニズム解明に対して食事・栄養の観点からアプローチする新しい専門領域である.数多の観察研究から食とメンタルヘルスの関連が見出され,比較的少数の介入研究から食事指導や栄養成分の補充によってうつ症状が改善する可能性が示唆されてきたが,結論には至っていない.有効な介入の普及には,系統的レビューによるエビデンスに基づいたガイドライン作成が必要である.そして,今後必要とされる研究としては,エビデンスに基づく効果的な食事指導の確立とその検証,バイオマーカー測定を包含する質の高い臨床試験,メカニズム解明に迫る生物学的研究である.