自律神経
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第73回日本自律神経学会総会
膀胱障害(排尿障害初発型のMSA)
山本 達也
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2021 年 58 巻 2 号 p. 204-207

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抄録

多系統萎縮症(MSA)は自律神経系,錐体外路系,小脳系が障害される神経変性疾患で自律神経障害の存在が診断に必須である.下部尿路機能障害が病初期から認められることもある.我々の検討でMSAの18.2%から24%は下部尿路機能障害が初発であった.MSAでは病初期から排出困難感などの排尿障害が目立つ例があることが特徴であり,一部の症例では仙髄から病変が進展していくのではないかと考えられている.また近年の研究により下部尿路機能障害の存在はMSAの予後予測因子としても使えることが明らかになっている.排尿症状についての詳細な問診,残尿量測定が早期診断や,鑑別として問題になることが多いパーキンソン病(PD)との鑑別にも有用である.本稿では下部尿路機能障害初発型のMSAを中心にMSAの下部尿路機能障害の特徴,下部尿路機能障害の予測因子としての有用性,PDとMSAとの鑑別について言及する.

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