自律神経
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シンポジウム
COVID-19における嗅覚・味覚・免疫の三重同時障害
平井 利明黒岩 義之
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2021 年 58 巻 4 号 p. 283-289

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抄録

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は2019年12月に中国の武漢から原因不明の肺炎として同定され,ヒト宿主細胞への侵入は重症急性呼吸器症候群(SARS-COV)と同様にアンジオテンシン変換酵素(ACE)2を介する.本稿ではCOVID-19(以下,本症)におけるウイルス浸潤のメカニズム,呼吸不全を伴う本症のGWAS解析におけるACE2の重要性,さらに近年報告された嗅覚・味覚障害の頻度,頭部MRI所見,末梢神経障害,脳症についてレビューする.また,持続する本症の症状は脳脊髄液減少症や筋痛性脳脊髄炎に類似するが,この仮説はSARS-CoV-2の感染実験により,ACE2を発現する脈絡叢上皮細胞への障害と,血液-脳脊髄液関門の破壊に伴う免疫異常という所見により支持される.

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© 2021 日本自律神経学会
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