2022 年 59 巻 3 号 p. 256-263
顎・顔面・口腔領域の自律神経性血流調節に関する一連の研究は,顔面皮膚,咀嚼筋や唾液腺に特有な副交感性血管拡張線維の存在を明らかにしている.副交感性血管拡張線維は脳神経の感覚入力を介して反射性に活性化され,これらの臓器に急峻かつ広範囲な血流増加を誘発する.したがって,副交感性血流増加反応は同領域の血流動態に重要であり,この血管反応の破綻が諸種の血流・機能障害の発症機序や病態に関連する因子の一つであると考えられる.本稿では,i)副交感性血流増加反応の特殊性,ii)それらの機能修飾(特に咀嚼筋)について述べるとともに,iii)これらの生理的役割或いは血流・機能障害との関連性について考察してみたい.