筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic lateral sclerosis: ALS)は,上位と下位運動ニューロンが選択的に障害されるシンプルな病気と考えられているが,運動系以外である自律神経障害を呈した報告も散見される.しかし,ALSの自律神経障害を病理学的に明確に説明できるエビデンスは乏しい.そのため視床下部なども含めた中枢自律神経線維網と脊髄中間外側核などとのバランス,障害の優劣で自律神経障害が出現していると推測される.ALSに対するサイバニック治療では,下肢運動機能の維持が観察された.ADL維持期間や生命予後延長も含めた長期的な効果の検討が今後の課題である.