2023 年 60 巻 1 号 p. 8-13
褐色脂肪組織(BAT)は寒冷刺激に応じて活性化して適応的熱産生を行う脂肪組織であり,マウスでは体温調節に不可欠である.ヒトにおいてもBATは急性寒冷刺激により活性化して寒冷誘導熱産生に寄与し,慢性寒冷刺激により増量することで寒冷適応に関与する.最近のマウスを用いた研究により,BATによる効率的な熱産生には分岐鎖アミノ酸(BCAA)の利用が不可欠であること,BATは心理ストレスによっても活性化してBCAAを活発に消費しながら発熱応答にも関与することが明らかになった.今後,ヒトでの検証が進み,BATの体温調節やエネルギー代謝調節,ストレス耐性に対する生理的意義の解明が進むことが期待される.