2023 年 60 巻 1 号 p. 49-53
自律神経障害を来す疾患の一部に,自己免疫性の機序で自律神経系のみを障害するものがある.抗ガングリオニックアセチルコリン受容体抗体が陽性の自己免疫性自律神経節障害では,自律神経節でシナプス伝達が阻害され広範な自律神経障害が生じる.本抗体の測定方法として受容体の細胞外エピトープを標的とする免疫調節法やlive cell-based assay法が新たに報告され,抗体検索の特異度改善が期待される.類似の臨床像で本抗体が陰性の例もあるが,その機序は未解明である.抗体陰性例では免疫グロブリン大量静注療法や血漿交換よりステロイドパルス療法が有効で,細胞性免疫の機序の可能性がある.多数例で治療効果判定を含めた疫学研究が望まれる.