自律神経
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Print ISSN : 0288-9250
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重症筋無力症における下部尿路障害
榊原 隆次
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2023 年 60 巻 4 号 p. 182-185

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抄録

重症筋無力症(MG)は,神経筋接合部の自己免疫性疾患である.MGでは通常,眼瞼下垂・複視・四肢嚥下呼吸筋の麻痺・筋力低下等が主訴となり,排尿障害が患者から訴えられることは稀である.一方,著者らの検討では,軽度~中等度の全身型MG患者の約30%に排尿障害がみられ,健常対照群よりも有意に高頻度であり,生活の質(QOL)の障害も高頻度にみられた.内容は,女性患者では腹圧性尿失禁が多く,MGによる骨盤底筋・外括約筋群の脆弱化が疑われた.一方,男性患者では過活動膀胱が多く,MG治療薬の副作用(ステロイドによる多尿,抗コリンエステラーゼ薬[排尿障害治療薬でもある]による膀胱刺激)も考えられた.以上から,MGでは,骨盤底筋・外括約筋の障害などによる排尿障害がみられる場合がある.特に腹圧性尿失禁は,MGの女性患者では,注目すべき症候の一つであると思われる.

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© 2023 日本自律神経学会
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