自律神経
Online ISSN : 2434-7035
Print ISSN : 0288-9250
原 著
アナフィラキシー低血圧時の圧反射機能の中枢性変容
松山 実緒吉岡 優海堀内 城司
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2023 年 60 巻 4 号 p. 186-191

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抄録

アナフィラキシー低血圧時の圧受容器反射(圧反射)や交感神経出力は抑制されるという報告の一方,圧反射機能は亢進するという相反する報告がされている.本研究では,麻酔下ラットを用いてアナフィラキシー反応時の心血管反応および腎臓交感神経活動の変化を検証した.卵白アルブミン(OVA)による感作を行ったOVA感作群では,OVA再感作によりアナフィラキシー反応の初期段階において圧反射に基づく心拍数および交感神経活動の増加反応に有意な抑制が見られた.さらに,意識下ラットを用いてOVA再感作によってアナフィラキシー低血圧を誘発した際の心血管反応と延髄内の神経興奮性を検証した結果,血圧の著しい低下に伴う心拍数の増加および圧反射の中枢である吻側延髄腹側野に分布するニューロンの興奮性が対照群に比べ抑制されていた.以上の結果から,アナフィラキシー低血圧時の圧反射機能は中枢性に抑制されている可能性が示唆された.

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© 2023 日本自律神経学会
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