自律神経
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Print ISSN : 0288-9250
第75回日本自律神経学会総会
Fight or flightと視床下部
黒岩 義之平井 利明横田 俊平藤野 公裕北條 祥子
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2024 年 61 巻 1 号 p. 26-37

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抄録

Fight or flightの場面ではストレス反応が連鎖的に起きる(発熱,頻脈,逃避行動).頻脈反応には心筋のミトコンドリアカルシウム単一輸送体が関与している.自律性の交感神経反応は危機的状況を切り抜ける上で有利に働く.心理ストレスに暴露されると内側前頭前野→視床下部背内側部→吻側延髄縫線核→褐色脂肪細胞を介して,発熱が惹起される.褐色脂肪はミトコンドリア蛋白質の活性化を経て,熱を産生する.オレキシン産生細胞は循環・呼吸系の同時活性化に欠かせない.視床下部・下垂体系の神経内分泌系反応も急性ストレス反応を支えているが,室傍核がその司令塔である.室傍核の活動指標として,c-fos遺伝子の発現が注目されている.視床下部は緊急事態型(交感神経型,短距離レース型)と平常時型(副交感神経型,長距離レース型)の2極体制からなる.視床下部の恒常性維持機構の攪乱によって,ストレス不耐と慢性疲労が起こる.

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© 2024 日本自律神経学会
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