2024 年 61 巻 3 号 p. 170-173
視床下部,辺縁系,脳幹網様体などから構成される中枢自律神経ネットワーク(CAN)の障害は多彩な自律神経症候を呈し,突然死とも関連する.脳卒中患者では突然死の頻度が高く,辺縁系を構成する右島皮質病変との関連が指摘されている.成人てんかん患者では突然死が年間1.2人/千人みられ,強直間代発作後の全般性脳波抑制に伴う無呼吸の関与が推測されている.自己免疫性脳炎では,頻脈,多汗,高血圧などの交感神経過活動がみられるが,手掌の精神性発汗は低下することがあり,扁桃体病変の関与が推察される.神経疾患でのCANの障害は,生命予後,ADL,QoLに影響するとともに,その評価は脳内ネットワークを含めた中枢神経機構の理解に役立つ.