The Journal of Antibiotics, Series B
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抗カビ性抗生物質Akitamycinに関する研究 第1報
添田 百枝藤田 鳳一
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1959 年 12 巻 4 号 p. 293-294

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抄録

この研究の大要は, 1957年11月22日日本抗生物質学術協議会第107回研究会において発表した。
1946年以来, 放線菌がつくる抗カビ性抗生物質は, 46種の多きを算え1), Penicillium属, Aspergillus属, Bacillus subtilis, B.brevis等から得られるものを加えると55種に達する。
1954年, 岡見, 歌原, 中村, 梅沢2) は, 紫外部吸収の値から放線菌抗カビ抗生物質を4群に分け, 翌年VINING.TUBER & GREGORY3) は, Polyene系抗生物質と名づけ, その二重結合の数から4群に分けた。
私共が1954年8月20日, 日本歯科大学の緒方規雄教授の御好意によつて得た秋田県下の慈虫有毒地帯 (仙北郡内小友村寺邑家墓地) の土壌から, 今までに発表された放線菌のいずれの菌株とも異なる1新株 (H-5504株) を見出し, Streptomyces akitaensisと名づけ, その産生する抗カビ性抗生物質をAkitamycinと命名した。
1955年, 細谷, 石橋4) が富山県の土壌から分離した抗カビ性抗生物質Toyamycinの産生株 (T-6株) と本菌株の菌学的研究は, 千葉大学腐敗研究所の新井正助教授によつておこなわれ, 多少の相違はあるが, よく類似することが明らかにされたが, その後の研究によつて化学的性状が明らかとなり, 著者の1人 (藤田) はAkitamycinの結晶化に成功し, 両物質は全く異なることが分つたので, ここに報告する。

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