The Journal of Antibiotics, Series B
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トリコモナス腟炎および腟カンディダ症に対するトリコマイシン腟錠および内服錠併用療法による治療効果特にその遠隔成績について
福島 正夫市ノ沢 昭光
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1959 年 12 巻 6 号 p. 416-419

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抄録

トリコモナス膣炎および腟カンディダ症は, 非常に広くひろがつた, 治りにくい煩わしい病気である。従来, 多くの薬剤が治療薬として用いられているが, たとえ一過性の効力を現わすものがあつても, 完全に根治させるものはなかつた。
細谷教授およびその共同研究者1)~9) によつて1952年に発見された抗原虫・抗真菌性抗生物質トリコマイシン (Trmと略) は, 試験管内においても生体内においても, また臨床的にもトリコモナス腟炎および腟カンディダ症にも強い抗生作用をもつことが報ぜられた。続いて, 真柄ら10)~11), 安藤ら2), 水野ら13)~14), 山元ら16), 木下ら17) および篠塚ら18) によつてTrm腟錠はトリコモナス腟炎および腟カンディダ症に治療効果のあることが相ついで発表された。しかし近来, Trm腟錠投薬中止後に, トリコモナスおよびカンディダの腟内再現に関する検査が精密におこなわれるようになり, Trm腟錠の投与の開始後, 比較的短かい日数の後に腟から消滅することは事実であるが, それらの一部は尿道または膀胱内に逃避し, 投薬中止後, 腟内にTrmが全くなくなると, 再び尿道膀胱から下降して腟粘膜に到達し, 再び増殖し再発が起る。すなわち自家再感染があることが明らかにされ, 真柄らは, Trm腟錠およびTrm内服錠の併用療法によつて自家再感染に非常に好結果を得たことを報告した。
著者等も, 一定期間Trm腟錠およびTrm内服錠の併用療法を施行し, 遠隔成績としてトリコモナスおよびカンディダ消失後から数カ月後におよんで培養・鏡検し, 主として再発の有無について検査した結果, 非常に好成績を得られたので報告する。

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