The Journal of Antibiotics, Series B
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小児感染症と筋注用Pyrrolidinomethyl tetracycline (Hostacycline) の臨床
中沢 進岡 秀大石 久小川 義市森元 博久福田 寿夫岩田 正昭木村 誠之李 文遠
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1960 年 13 巻 2 号 p. 77-79

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抄録

最近における広域抗生剤の新らしい傾向として内服による高血中濃度製剤の出現のほかに, 同様の性状を備えた筋注用製剤がクローズ・アップされてきている。広域抗生剤の使用する機会の多い年少小児にとつて, 無痛に投与できる小児用製剤は, 理論的には適しているが, 連用する場合には, 服用を嫌がることが多く, また重症感染の治療にあたつては, 早急に確実な高い血中濃度を与える必要に迫られるし, 酸素テント収容時には内服の継続は困難になつてくる。いずれにしても, 重症感染症罹患中の年少小児への抗生剤の投与は, 比較的容易なしかも確実性のある筋注剤によるほうが便利なことが多いことは臨床家の日常等しく経験するところであるかと思う。以上の目的に沿うTetracycline系の筋注用製剤Pyrrolidinomethyl tetracycline (Hostacycline)(PRMTC) には高血中濃度と有効血中濃度の長時間持続という特徴のほかに, 髄液中に高度に移行する利点があり, 小児用広域抗生剤としての使用価値が高く評価されてきたところであり, 今回私等も本製品を臨床的に使用する機会に恵まれ, 一連の臨床的検討をおこなつてみたので, 以下現在まで得られた概況の一端について略報したいと思う。使用したLotは, No.10で, 1 Vial 100mgまたは250mg含有のものを使用した。

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