1962 年 15 巻 4 号 p. 190-192
われわれはPropionyl erythromycin lauryl sulfate (PELS) の提供をうけ, これについて血中, 尿中濃度を従来のErythromycin (EM) とcross overして比較検討し, また羊水, 臍帯血, 悪露への移行濃度を検し, かつ産婦人科領域の感染症に使用して, いささかの知見を得たので, その概要について報告する。
PELSはEMの新らしい誘導体であつて, その抗菌スペクトルムは従来のEMと全く同一であるが, 従来のEMが胃酸に弱く, pH6.0ですでにその効力が減退するのに対し, PELSは酸に対して比較的安定であり, 特にグラム陽性球菌類に有効であるといわれている。