1962 年 15 巻 5 号 p. 300-302
Erythromycin (EM) のPropionyl esterであるEM-propionate (EMPと略) は, BaseにくらべるとpHの変動による影響 (破壊) をうけにくいため, 経口的に投与した場合には, Baseよりもすぐれれ吸収性をしめし, 高い血中濃度を持続する1, 2)。しかし, このものも酸に対して全く安定であるとはいえず, ことにSuspensionの形で投与する場合には, 第1にその苦味のつよいこと, 第2にCapsuleとして投与する場合よりも一そう酸によつて影響をうけやすく, このために吸収能率がさらにわるくなるなどの欠点のため, 満足すべき結果がえられなかつた3)。
最近, EMPのaikyl sulfateであるPropionyl erythromycin lauryl sulfate (PELSと略) がつくられたが, このものは全く水にとけないために, 苦味がなく, また酸によつて破壊されないので経口的によく吸収され, ことにSuspensionとして投与するのに都合がよいといわれる3)。
以下, このものについて2, 3の実験をおこなつたので報告する。