1967 年 20 巻 5 号 p. 364-367
稲のイモチ病の防御に用いられていたカスガマイシンが, 一方, 緑膿菌にも優れた抗菌性をもつことが確認された。皮膚科領域において, 緑膿菌が問題になるのは, 熱傷, 放射線障害その他による難治性潰瘍に2次感染を来たしたばあいで, 緑膿菌感染によつてその治癒は甚しく阻害される。
カスガマイシンを筋注するばあいは, 血中濃度を制菌的に作用する濃度まで高め, かつ維持することが非常に困難である。しかし'もしこれを直接病巣に作用させることができれば, 充分な濃度が得られるので, 最も効果を挙げ得るものと考えられる。われわれは'この局処療法につき検討を加えた。
カスガマイシンに関して, 皮膚科領域においての使用に関する報告は, 甚だ少いので, その構造式や特徴等について文献的に簡単に紹介し, 次いで我々の経験した臨床使用成績について報告する。