1967 年 20 巻 5 号 p. 368-371
1961年, DOYLE等によって発見されたAminobenzyl Penicillin (AB-PC) は, 従来の諸種のペニシリン製剤と異なり, グラム陽性菌はもちろんグラム陰性菌にも高度の抗菌力を示し, 広範囲抗菌スペクトルムをもつ最新の合成ペニシリンであり, 既に経口用製剤としては, 臨床面に広く使用されている。
今回われわれは, 日本ブリストルラボラトリーズ株式会社から注射用AB-PC (商品名: シレラール) の提供を受け, 尿路感染に対する効果の判定を依頼されたので, 本薬剤を急性膀胱炎患者に使用し, その効果ならびに本薬剤と消炎剤との併用の効果について検討した。
AB-PCは, 化学名を6[D(-)-α-Aminophenyl-acetamid] penicillanic acidといい, 右の構造式をもつ白色の粉末で, 1瓶中にアミノベンヂルベニシリンナトリウム250mg (力価) を含有している。
分子量は372.4で, 水にはpH8.8~9.3に於て500mg/ml以上溶解する。