1953 年 6 巻 9 号 p. 455-458
主としてグラム陰性菌に有効な抗生物質で既に報告されたものには, 放線菌が産生するものとしてGrisein, Chloramphenicol及び我が教室で分離されたK-300, Streptothiricin 3等があげられている。
我々の従来の方針に従がい, 土壤から分離された放線菌株の中にはBac. subtilis, Sh. sonnei, Mycob. 607, Cand. albicansを被検菌として, Agar disc法によつてPrimary screeningをおこなつた場合, Sh. sonneiに最も有効, 次いでMycob. 607には有効または無効, B. subtilisには無効または僅かに有効な抗生物質を産生する1群が比較的多数 (第I群の約3~4%) 存在することが確められた。我々はこの1群を抗大原菌因子 (SS factor=Shigella sonnei factor) 産生株と称し, これに属すると思われる菌株28株を保持しているが, このうち培養濾液に力価を認められない6株を除き, 残り22株について種々の方面から実験観察をおこない, この1群の有効物質を数群に分類し, それぞれ代表的なものを精製しようとした。