The Journal of Antibiotics, Series B
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Mycobacterium aviumにおけるStreptomycin耐性とSulfathiazole耐性の特殊な関係について
束村 道雄
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1956 年 9 巻 4 号 p. 168-169

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抄録

君野 (1) はMycobacterium aviumにおけるsulfathiazole (ST) 耐性株をstreptomycin (SM) を含む培地中に継代培養する時, 感性株に比較してSM耐性が出現しにくいと報告した。 後述するように, この方法ではなお生菌数の差を除外しなければならないが, この実験はST耐性とSM耐性の間になんらか特別な関係がある可能性を暗示した. 次いで, 束村, 鈴木, 君野 (2) はM. aviumにおけるSM耐性がsulfonamidesによつて阻止されることを報告した。その中で, SMの微量とST1mcgの共存のもとに生育したpopulation中のSM耐性菌出現率が, 同量のSMのみの中に生育したpopulation中のSM耐性菌出現率より少ないことを観察して, SMとSTの間に特殊な交互作用が存することを想像した。次いで東村 (3) は, ST耐性菌の継代培養法による耐性出現のscreening testsをおこなつて, ST耐性菌の中から (ST 10mcg共存のもとで) 容易にINAH耐性菌を分離できるのにたいして, SM耐性菌を分離しにくいことを観察した。 そして次に(4), ST耐性株におけるSM耐性菌出現率とINAH耐性菌出現率とを測定して, ST耐性株におけるINAH耐性菌出現率が感性株 (原株) のそれと等しいのにたいして, SM耐性菌出現率は感性株のそれより著明に低いことを見出して,M. aviumにおけるSM耐生とST耐性の特殊な関係の存在を確証した。従がつてここに, この事実の逆, すなわちSM耐性株におけるST耐性菌出現率が感性株または。INAH耐性株のそれより低いかどうかが問頭となる。そこで, これらの諸株からST耐性菌出現率を測定しようと試みたが, 別報するように, STの抗菌作用の特殊性から, 一定量以上の生菌をSTを含有する平板培地に接種すると, 感性菌でも平板上に発育して (恐らくSTの作用にlag phaseが存するため), ST耐性菌出現率の測定は不可能であつた。従がつて, 次善の方法として継代培養法による耐性出現曲線を観察したところ, 期待の結果を得た。

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