The Journal of Antibiotics, Series B
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放線菌の産生する抗癌物質Screeningにおけるエオジン
染色によるIn Vitro Testの応用について
原田 雄二郎久保 重夫
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1956 年 9 巻 4 号 p. 160-167

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抄録

抗癌物質のScreeningの方法は, 今までに多数報告され, その内容も多種多様である。また, これらのScreeningによつて発見された放線菌の産生する抗癌物質は, 既にSarkomycin, Carzinophilin, Actinomycin, Azaserine, 289物質, Puromycin, Ganncidin, E-150物質, Mitomycin, Gannmycin, Carzinocidin, 等が報告され, その多くは, 抗菌力をもつものであつた。ところが最近報告されたGannmycin, Carzinocidin等は全く抗菌力をもたず, 菌力のない抗癌物質の探索もまた必要になつて来た。しかし, これらの物質の抽出精製に従来のin vivotestを用いていたのでは, 非常に時日も要し, また, 多数の動物を飼育しなければならないなどの難点がある。そこで我々は, 最も簡便な方法として, 先に, SCHREK1) や菊地等2) によつて始められた, エオジン色素に対する細胞の生死に基づく選択的な不透過性を利用したUnstained cell count method (エオジン染色法) を取り上げ, 菊地等2) によつて簡便化されたこの方法を更に簡便化すると共に, 数種の既知物質を用いた試験によつて, そのCytocidal actionに対する動きも検討し, また従来のin vivotestや, 細谷等のNINOMI's methodとも比較し, 実際にも, 放線菌の数十種のtype cultureや, 我々の分離した放線菌についても同方法の適用を試み, いささかの知見を得たので, ここに報告する次第である。

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