The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
Hetacillinの泌尿器科疾患に対する使用経験
田村 峯雄前川 正信新 武三甲野 三郎中西 純造
著者情報
ジャーナル フリー

1968 年 21 巻 3 号 p. 107-110

詳細
抄録

尿路・性器感染症は, 泌尿器科以外の診療科 (内科, 外科, 小児科, 婦人科等) においても℃ 日常の外来診察でしぱしばみとめられるが, その対策は泌尿器科領域における1つの重要な問題であることは言をまたない。
尿路感染症は, 尿路に感染をおこしやすくするなにか器質的または機能的疾患をもつばあいが多く, したがつて, 泌尿器科専門医の診断を必要とする。しかし, このような疾患をもつにもかかわらず, 抗生物質が乱用され, 我々のところを受診したときは, すでに多くの抗生物質に対する耐性菌の出現がみとめられる症例が多い。
最近の数多くの抗生物質の新製品の出現は, 種々の感染症に対してすばらしい効果を示しているが, その使用を誤ると, 耐性菌の増加から, 治療にさいして多くの障碍を生むことになる。感染症をおこしやすくする素地を除いたのち, またはそれに対する治療をほどこしながら, 適切な抗生物質を使用することが大切である。
最近, 我々は万有製薬からHetacillin錠の提供を受けた。Hetacillinは, 右図のような構造式をもっBroad spectrumantibioticで, 球菌のほかに, グラム陰性桿菌群にも抗菌性をもつものである。
性状は白色の結晶で, 19の水に17mg可溶である。室温で少なくとも24ヵ月間安定であり, 1錠中250mg (力価) を含有する。その効果は, アミノベソジルペニシリンと同一程度の作用とされている。アミノベンジルペニシリンは, すでに臨床的に高く評価されているが, 今回はHetacillin錠の使用成績を報告する。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top