The Japanese Journal of Antibiotics
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21 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 前田 耕治, 柳沢 弥太郎, 袴田 文治
    1968 年 21 巻 3 号 p. 105-106
    発行日: 1968/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ペニシリンの登場以来, 各種の抗生物質が次々に開発され, 応用されているが, それらの発展と相侯つて, 薬剤耐性菌の出現も無視できぬ問題となり, 臨床治療を困難にする理由の1つとなつている。私たちは, 今回種々の抗生物質療法に抵抗した腸チフス菌性胆のう炎, 大腸菌性胆のう炎にAminobenzyl penicillin (シレラール, 日本ブリストル) が著効を奏した各1例を経験した。胆道感染の治療にAminobenzyl penicillin (AB-PC) は, きわめて重要な役割を果しうると思われるので, ここにその概要を報告する。
  • 田村 峯雄, 前川 正信, 新 武三, 甲野 三郎, 中西 純造
    1968 年 21 巻 3 号 p. 107-110
    発行日: 1968/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    尿路・性器感染症は, 泌尿器科以外の診療科 (内科, 外科, 小児科, 婦人科等) においても℃ 日常の外来診察でしぱしばみとめられるが, その対策は泌尿器科領域における1つの重要な問題であることは言をまたない。
    尿路感染症は, 尿路に感染をおこしやすくするなにか器質的または機能的疾患をもつばあいが多く, したがつて, 泌尿器科専門医の診断を必要とする。しかし, このような疾患をもつにもかかわらず, 抗生物質が乱用され, 我々のところを受診したときは, すでに多くの抗生物質に対する耐性菌の出現がみとめられる症例が多い。
    最近の数多くの抗生物質の新製品の出現は, 種々の感染症に対してすばらしい効果を示しているが, その使用を誤ると, 耐性菌の増加から, 治療にさいして多くの障碍を生むことになる。感染症をおこしやすくする素地を除いたのち, またはそれに対する治療をほどこしながら, 適切な抗生物質を使用することが大切である。
    最近, 我々は万有製薬からHetacillin錠の提供を受けた。Hetacillinは, 右図のような構造式をもっBroad spectrumantibioticで, 球菌のほかに, グラム陰性桿菌群にも抗菌性をもつものである。
    性状は白色の結晶で, 19の水に17mg可溶である。室温で少なくとも24ヵ月間安定であり, 1錠中250mg (力価) を含有する。その効果は, アミノベソジルペニシリンと同一程度の作用とされている。アミノベンジルペニシリンは, すでに臨床的に高く評価されているが, 今回はHetacillin錠の使用成績を報告する。
  • 南部 春生, 板垣 道夫, 芝木 秀臣, 吉岡 一
    1968 年 21 巻 3 号 p. 111-114
    発行日: 1968/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Hetacillin (以下, DOPI-PCと略す) は, 1964年米国ブリストル研究所で開発された新合成ペニシリンで6-(2, 2-Dimethyl-5-oxo-4-phenyl-1-imidazolidinyl)-3, 3-dimethyl-7-oxo-4-thia-1-azabicyclo (3, 2, 0) heptane-2-carboxylic acid の化学名と下記のような構造式をもち, 先に合成されたAminobenzyl penicillin (以下, AB-PCと略す) と同じように, グラム陽性菌, グラム陰性菌, と広い抗菌スペクトルをもち1~3), 小児科領域における各種感染症に対しての応用が期待される。
    今回私達は, 本剤の血中濃度の推移および各種感染症に対して, 臨床投与をする機会を得たので, 以下その成績について報告する。
  • 山上 茂, 赤尾 満
    1968 年 21 巻 3 号 p. 115-117
    発行日: 1968/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    6-Aminopenicillinic acid を母核として合成されたHetacillinは, グラム陰性桿菌にも有効なPenicillinであることが報告されている。赤尾が塩田教授らとともに報告した, その基礎的ならびに臨床的研究において, その抗菌力がAB-PCと甚だよく似た値を示していることから, 赤痢に対し本剤を試みることにした
  • 第2報大腸菌に対する化学療法剤の抗菌力におよぼす尿pHの影響
    猪狩 淳, 近藤 弘司, 工藤 正十三, 狩野 元成
    1968 年 21 巻 3 号 p. 118-123
    発行日: 1968/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    尿路感染症の治療には一般に化学療法がおこなわれるが, そのさいに, 原因菌を決定し, その菌の化学療法剤感受性を測定して, 治療薬剤を決定するのが常識になつている1) 。現在, 化学療法剤の感受性検査は, ディスク法による測定が広くなされているが1), このばあいの使用培地のpHは7.2である。ところが, 尿pHは正常人尿でも4.8~8.0の幅広い変動があり, Proteus菌群のような尿素分解菌による尿路感染症では尿pHが9以上になる。このように正常状態でも, 病的状態でも尿pHの変動幅は大きい。このため, 日常おこなわれている化学療法剤感受性成績と, 臨床上の薬剤効果との間にくいちがいがおこる可能性がある。
    私共は, 前報で, 健康人尿における大腸菌の増殖と尿pHおよび尿滲透圧の関係を報告した。大腸菌は尿pHが6~8, 滲透圧は200~900mOsm/Lの間で, その増殖がきわめてよかつた。この結果に基づいて今回は尿pHが6, 7, 8のとき, これら尿pHの変化が化学療法剤の大腸菌に対する抗菌作用に及ぼす影響を検討することを目的として, 上記のpHに調整した健康人滅菌尿に, 大腸菌の一定数と化学療法剤が一定濃度になるように加えて, in vitroで尿中細菌の増殖状態を経時的に観察した。
  • 梶本 義衛, 倉本 昌明
    1968 年 21 巻 3 号 p. 124-130
    発行日: 1968/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephalothin (CET) およびCephaloridine (CER) は, ともにCephalosporin Cの誘導体で, 現在知られている種々の抗生物質のうちでも, 最も高い抗菌力をもつた広範囲スペクトル抗生物質の1つである。これらの基礎的ならびに臨床的研究は, すでに数多くみられ, その治療効果も高く評価されている。しかし一方, 副作用または毒性についても報告され, 特にCERの腎毒性については, 種々論議されているところから, 筆者らはCETとCERについて, 家児を用い, 腎毒性を比較し, 興味のある成績を得たので報告する。
  • 松崎 明紀, 吉田 昭雄, 中村 浩一, 小野寺 邦介
    1968 年 21 巻 3 号 p. 131-152
    発行日: 1968/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Kasugamycin (以下KSMと略) は, 1964年梅沢博士等によつて発見されたStreptomyces kasugaensisの生産するAminoglycosidic groupの抗生物質で, 今日までにその化学構造6, 7, 8, 9, 10), 毒性, 抗菌作用1.2.3), 作用機序5.11), 薬理作用3), イネのいもちに対する防除効果4) 等, 広範な基礎的研究がなされ, さらにKSMの基礎と臨床効果について, 第14回日本化学療法学会総会シンポジウム12) に於いても詳報されているものである。
    著者等は前報においてKSMの急性毒性, 薬理作用, 吸収・排泄等に関して報告した。本報では, 1965年から1966年にかけておこなわれたマウス, ラット (968匹), 犬 (46匹) におけるKSMの亜急性毒性, 慢性毒性ならびに妊娠マウス, ラットの胎仔に及ぼす毒性について記述する。
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