1969 年 22 巻 5 号 p. 383-386
合成Cephalosporin Cの誘導体であるCephalothinおよびCephaloridineは従来の抗生物質と交叉耐性をもたず, しかも殺菌的に働く新広域抗生物質として注目を集め, 多くの臨床実験の結果, その有効性が確かめられ, すでに広く一般臨床に賞用されている。しかし, これら2剤は内服によつては有効な血中濃度が得られないため, 一部の腸管感染症については, なお検討の余地が残されていないわけではないが, 非経口投与にのみ使用されている。したがつて, 経口投与の可能な合成Cephalosporin C誘導体の出現が期待されていた。Cephaloglycinは, この目的で開発されたものであるが, 吸収が悪く, 所期の効果を収め得なかつた。これに対して, 今回登場したCephalexinは, 抗菌力はCephaloridineにくらべて一般に劣るものの, 経口投与で充分な血中濃度が得られるので, 試用に値するものと考えられる。Cephalexin Capsuleの効果については, すでに本年4月の第17回日本化学療法学会総会においてシンポジウムがおこなわれ, その有効性がみとあられた。しかし, 小児ではCapsuleの内服は困難なばあいが多く, しかも使用量の関係からもCapsuleのように一定量に限定されては困るので, Suspensionの剤形のものが必要である。今回, 鳥居製薬からCephalexin Suspensionの提供を受けたので, その臨床使用成績について検討した。