The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
3', 4'-Dideoxykanamycin Bの吸収, 排泄, 分布および代謝 第1報
ラットにおける吸収, 排泄, 分布, 代謝について
小宮 泉早坂 洋司村田 信二郎駒井 知好梅村 甲子郎
著者情報
ジャーナル フリー

1973 年 26 巻 1 号 p. 49-54

詳細
抄録

3', 4'-Dideoxykanamycin B (以下DKBと略記) は, Fig. 1のような化学構造をもち, 梅沢ら1) によつてカナマイシンBから合成された新抗生物質である。梅沢ら2, 3) は, アミノ配糖体抗生物質の耐性機序を研究し, カナマイシンにおいては, R因子耐性菌や, 耐性ブドウ球菌, 緑膿菌の耐性が多くのばあい, 3'-OH基に対するリン酸化酵素の存在によるものであることを明らかにした。DKBは, これらの知見にもとずいて, カナマイシンBのもつともリン酸化されやすい3'-OHと4'-OHとを水素原子に置換したものであり, 多くの耐性菌をはじめ, カナマィシン系抗生物質に感受性の少ない緑膿菌にいたるまで, 強い抗菌力をもつている。
著者らは, このDKBについて, その有効性と安全性に関する基礎研究の1っとして, トリチウムで標識されたDKB (以下3H-DKBと略記) を使用し, ラットにおける血中濃度, 尿中排泄, 代謝と体内分布について検討した。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top