1973 年 26 巻 2 号 p. 157-162
アップジョン研究所でStreptomyces lincolnensis var. lincolnensisの培養液から発見されたLincomycin (LCM) は, 耐性ブドウ球菌をはじめ, グラム陽性菌に強い抗菌作用をもつといわれている1)。その作用機序は, 細菌の核酸合成を阻害しない条件下で, 蛋白合成を阻害するといわれている2) 。Clindamycin (CLDM) は, LCMの7位のOHをClで置換した誘導体で, 抗菌スペクトラムはLCMと同じであるが, その抗菌力はLCMの4~8倍に高められている3)。
LCMとCLDMの好気性菌に対する抗菌作用は, すでに多くの報告があるが, 嫌気性菌については少なく4, 5, 6, 7), 本邦での希釈法による検討は小酒井ら8) の報告だけである。
LCMとCLDMの嫌気性菌に対する抗菌作用をin vitroで検討した。