1974 年 27 巻 2 号 p. 112-117
各種化学療法剤の髄液内移行は, 薬剤の血清中濃度, 血漿アルブミンとの結合率, アセチル化, 髄膜の炎症の有無やその程度, さらに薬剤の物理化学的性状など多くの因子に影響される。従来報告された化学療法剤の髄液内移行については, Sulfonamide, Chloramphenicol以外の薬剤の移行はきわめて低く, とくに髄膜に炎症がみとめられないばあいは血清中濃度の1/10~1/100程度の移行がみとめられるに過ぎないようである。
われわれも, Ampicillin, Chloramphenicol, Erythromycin, Doxycycline, Rifampicin, Cephaloridine, Kanamycin, Gentamicinなど各種抗生剤の髄液内濃度を測定し, 第18回および19回化学療法学会総会において報告したが, 今回は, Carbenicillin (以下CB-PCと略す) およびSulbenicillin (以下SB-PC) の髄液内移行について検討した。さらに, 4例の化膿性髄膜炎患者に使用したので, その臨床成績もあわせて報告する。