The Japanese Journal of Antibiotics
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ステムプロメラインと抗生物質との併用によるマウス実験的感染症に対する治療効果
Streptococcus hemolyticus, Diplococcus pneumoniaeおよびPseudomonas aeruginosaによる実験
石川 英之小黒 義五郎
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1974 年 27 巻 2 号 p. 118-121

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抄録

プロメラインは, Bromeliceae科に属する植物に見出されるよく類似した蛋白分解酵素の1群で, 特にパイナップルの根茎にきわめて多く含有することが見出されて以来, これを原料として抽出精製した製剤として医療面を始め各方面での用途に供されている。
医薬品としてのプロメラインは, 抗浮腫.抗炎症剤として薬理学的応用はすでに確立されているが, これらの作用以外に古くからプロメラインを含む蛋白分解酵素が抗生物質との併用投与により1, 2, 3), 血液, 胆汁, 膿汁, 筋肉および各種臓器中の抗生物質濃度を著るしく高めることを見出し, さらに臨床的にも好成績をおさめた例が報告されている。われわれも, 前報において4), プロメラインと抗生物質との併用による抗生物質血中濃度に対する増強効果を, ウサギ腸管投与によつて検討したところ, 特にPenicillin V, Erythromycinとの併用時は血中濃度が著るしく高くなることを報告した。
このように, 蛋白分解酵素と抗生物質との併用投与したばあい, 抗生物質の各組織や体液中への移行量に対する影響を比較検討した報告は多くみられるが, 生体内における感染症に対する治療効果について, 動物を用いての併用による感染防禦に関する報告はまだみられないようである。
そこで今回われわれは, プロメラインを用いて各種抗生物質の併用投与によるマウスでの実験的細菌感染症に対する治療効果を, 抗生物質単独投与のばあいと比較検討した結果, 併用投与によつて治療効果を増強する知見が得られたので, ここに述べる。

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© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
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