The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるCS-1170の臨床使用成績
南谷 幹夫八森 啓友利 典子
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1979 年 32 巻 2 号 p. 241-246

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抄録

CS-1170は, 三共株式会社の研究所で開発されたCephamycin系に属する新規抗生物質で, 従来のCephalosporin系とは異なり母核の7位にメトキシ基をもつことから, 強いβ-Lactamase抵抗性炉ある。
本剤の特長的作用をあげると, 耐性大腸菌を含むβ-Lactamase産生菌に対しても強い抗菌力があり, グラム陽性および陰性菌に対し優れた抗菌力を示すだけでなく, 従来のCephalosporin系やPenicillin系抗生物質が無効 なIndole陽性Proteus, Serratiaなどにも強い抗菌力をもち,Bacteroides fragilisにも有効である。また, 筋注, 静注によつて高い血中濃度が得られ, 活性型のまま尿中に速やかに排泄されるばかりでなく, 一般毒性はきわめて弱く, 腎毒性もCephaloridine (CER), Cefazolin (CEZ) より少ないことが知られている。以上の点からみて, 現在, 次第に増加しつつあるグラム陰性桿菌, 殊にβ-Lactamase産生菌感染症に対して, 本剤の治療効果は期待されるところが大きいと思われる。
本剤はFig.1のような構造をもち, 分子式はC15H16N7O5S3Naである。
本剤の臨床的研究は1976年に始まり, 成人に対する基礎的, 臨床的成績が積み重ねられて, 第25回日本化学療法学会西日本支部総会で発表1)された。小児科領域における検討は, 1977年5月に始められ, われわれも本剤を臨床的に使用する機会を得たので, その成績を報告する。

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