The Japanese Journal of Antibiotics
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口腔癌に対するNK 631の手術前使用経験
山本 悦秀砂川 元小浜 源郁
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1979 年 32 巻 2 号 p. 253-258

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抄録

1968年Bleomycin (BLM) が陰茎癌に著効を示すことが報告され1), 口腔癌領域においても臨床応用がされてきた。応用初期には, BLM単独療法で腫瘍が消失した例も報告され, 扁平上皮癌に対するその有用性は広く知られるところとなつた。しかし, 一方では著効を期待するあまり, 多量に投与され, 重篤な肺の副作用を惹起した苦い経験もまた決して少なくない。加えて, これらの副作用ばかりでなく, 予後の向上を期す目的で最近では手術, 放射線に一定量 (150mg前後) をうまくCombinationさせる方向に進んできつつある。
我々も比較的早くこの事実に基づき, 口腔癌の治療方針として術前化学療法→手術→術後免疫賦活療法という手術を中心とした一貫した治療法を採用している3, 4)。そのうち, 術前化学療法としては, BLMを1回15mg, 計90~120mgを静注している。
今回我々は, 術前化学療法にBLMの新誘導体NK 631 (Pepleomycin) を使用する機会を得たので, 結果について以下に述べる。

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