The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
新らしいBleomycin (Pepleomycin) のPhase IおよびII Study
三浦 健片山 憲侍和田 達雄
著者情報
ジャーナル フリー

1979 年 32 巻 2 号 p. 265-277

詳細
抄録
1965年梅沢らによつて開発されたBloomycinは, 扁平上皮癌と悪性リンパ腫に特異的な効果を示す抗癌剤として, 我が国を始め広く欧米でも使用され, すぐれた臨床効果をあげていることは周知のとおりである。しかし, Bleomycinのもつ副作用の1つとして肺線維症の発生があり, その対策が問題とされていた。
その後, Bleomycinの構造式が解明されるにつれて, BleomycinのAnalogueが約300種も半合成され, その中からいくつかのものが, より副作用が少なく, より有効な抗癌剤として試験されてきた。
最近, 新らしいBleomycinの誘導体であるNK 631 (以下Pepleomycinとする) が開発され, 基礎的実験において抗腫瘍性は, 従来のBleomycinとほぼ同等またはやや強く, しかもPepleomycin投与後の組織内濃度, 特に胃組織内の濃度は有意に高く, 実験的に作成されたラット胃癌にも有効であることが明らかになつた。また, 毒性面では, 全身性の毒性はBleomycinにくらべ, やや強い傾向がみられたが, マウスの肺線維症の発生は約1/3以下と報告1) された。
以上の基礎実験データに基づいて, 我々は1976年10月から1978年9月にわたつて23例の各種進行癌にこのPepleomycinを投与し, Phase I & II studyをおこなつたので報告する。
著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top