1979 年 32 巻 3 号 p. 359-363
胆道感染症は, 外科領域にとおいてもしばしば経験され, 特に閉塞性黄疸を伴なう疾患においては難治性となり, 治療に難渋するばあいが少なくない。最近, 新らしい抗生剤としてAmpicillinの誘導体Apalcillin (以下APPCと略す) が開発された。本剤は, グラム陽性菌ばかりでなく, グラム陰性菌にも有効で, Pseudomomas, Klebsiella, Proteusなどに強い抗菌力を発揮し, 肝臓への移行が良好で, 胆汁内に高濃度に排泄されるのが特長である1)。そこで, 我々は, 胆道感染症に対してAPPCの臨床効果を検討し, 併せてその血中濃度および胆汁内濃度を測定し, 2, 3の考察をおこなつてみた。