1981 年 34 巻 2 号 p. 200-204
1970年代に入つて, B群溶連菌による感染症が急激に増加してきた1, 2)。本菌の感染は, 主に新生児におこるが, 成人にもあり, 種々の臓器の疾患がみられる3)。しかし, 重要なのは新生児期の敗血症および髄膜炎で, 致命率および後遺症率が高いことである。
新生児期の感染症は, 症状所見が乏しく, 感染の認知さえ困難である4)。しかも, 原因菌はB群溶連菌とともに, 大腸菌, その他のグラム陰性桿菌が多く, 多彩である1, 2)。病状の進展が急速であるから, 感染を疑つたら, すぐ, 化学療法を開始する必要があり, それには, 広くこれらの菌種をカバーできなければならない5)。このような観点から, われわれは臨床材料から分離したB群溶連菌について, 抗生剤感受性を中心として細菌学的検索をおこない, さらに, Penicillin GとAmpicillinについて, B群とA群溶連菌の感受性を比較したので, 報告する。