The Japanese Journal of Antibiotics
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血液疾患の重症感染症に対するAmikacinの静脈内投与の検討
藤井 浩清水 忠雄
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1981 年 34 巻 6 号 p. 841-851

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抄録

最近, 抗癌剤の投与法の工夫や新らしい強力な抗癌剤の開発により, 急性白血病をはじめとする造血器悪性腫瘍の寛解率は向上し, 長期生存例が増加してきた。一方, 治療経過中に宿主は頻回にわたり, 顆粒球減少や免疫不全状態に陥り, いわゆるOpportunistic infectionを合併しやすい。このような条件下で発生する感染症は, 重篤かつ難治性であり, しばしば致命的となるため, 感染症対策は基礎疾患の経過を左右する最も重要な要因の1つとなつている。このため, 感染症対策としては, Bioclean roomの導入, 抗生物質の大量併用投与, 顆粒球輸血などが試みられているが, 今なお感染死は増加傾向にある。起炎菌としてグラム陰性桿菌の分離頻度が高いことから, アミノ配糖体系抗生物質を支柱とし, 合成ペニシリン系, セファロスポリン系抗生物質の大量併用療法がおこなわれている。
今回, 基礎疾患に造血器悪性腫瘍や再生不良性貧血をもつ重症感染症に対して, Amikacin (AMK) の点滴静注投与を中心とした多剤併用療法をおこなつたのでその成績を報告し, あわせてAMK点滴静注時の血中濃度, 尿中排泄量についても検討を加えたので報告する。

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