The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
Cefmetazoleの新生児領域における検討
岩井 直一佐々木 明種田 陽一猪熊 和代
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 34 巻 6 号 p. 881-892

詳細
抄録

近年, 従来のβ-Lactam系抗生剤が多用されるに伴ない, それらの薬剤に新らしく耐性を獲得した菌株やもともと効果の無かつた菌種による感染症が増加の傾向にある。こういつた傾向は小児科領域でも現実のことであり, 一層増加したさいには, 現在我々がもちあわせている抗生剤では当然支障をきたすことが考えられる。特に, こういつた感染症は, 産科的処置といつたグラム陰性桿菌との接触の機会があり, 免疫学的にも不全状態にある未熟児や新生児, 年長児でもHost側に抵抗性の減弱があるばあいに発症することが多いだけに問題が多い。したがつて, 広域スペクトラムをもち, 殺菌的に作用し, 蓄積作用がなく, また, 副作用が少ないなどの新生児領域の抗生剤としての条件を備えた薬剤の出現が望まれるところである。
CefmetazoleはCephem環の7α位にMethoxy基 (-OCH3) をもつCephamycin系と称される抗生剤の1つである。従来のβ-Lactam系薬剤よりβ-Lactamaseに安定であり, そのために, グラム陰性桿菌ではより抗菌スペクトルが広くかつ抗菌力が強くなつている)。また, 従来のβ-Lactam系薬剤に耐性を獲得したβ-Lacta-mase産生菌にも効果があるといわれている1)。しかも, 体内で変化を受けず, 主に腎を介して速やかに排泄され, 腎毒性はCephalothin (CET) より少ないといわれている。このような特徴をもつ本剤は, 新生児領域において今後一層増加してくると考えられるβ-Lactamase産生菌にごよる感染症の治療に, 大きい役割を果しうると想像される。
今回, 我々は本剤の新生児領域における基礎的, 臨床的検討をおこなつたので, その成績を報告する。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top