1981 年 34 巻 6 号 p. 994-1001
前報 において, われわれはCefotiam (CTM) の臨床分離株に対する抗菌力と黄色ブドウ球菌性髄膜炎家兎における100mg/kg静注後1/2, 1, 2時間の同時髄液血清比百分率について報告した。本剤の最小発育阻止濃度 (MIC) は, Staphylococcus aureus ではCefazolin (CEZ) と同等ないし1管程度劣るが, グラム陰性桿菌に対しては遙かにすぐれた抗菌力をもち, 同時髄液血清比百分率は30分12.2%, 1時間31.6%とかなり高い値であつた。本剤はHaemophilus influenzaeに対しても0.8mcg/mlにMIC分布のピークがあり, Ampicillin (ABPC) 耐性株にも有効である。もし髄液中への移行効率がよければ, 従来の髄膜炎化学療法が当面している問題の一部を解消し得る可能性があるが, 同時髄液血清比百分率と移行効率とは必ずしも一致するとは限らないので, さらに詳細な検討をおこなつた。また, 小児科領域研究会の1員として, 多少の臨床的経験を得たので, それらの成績を報告する。