The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるCefsulodinの臨床的検討
南谷 幹夫八森 啓鈴木 正敏
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1982 年 35 巻 11 号 p. 2676-2682

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抄録

Cefsulodin (CFS) は, 武田薬品工業中央研究所で開発された新しいCephalosporin剤で, 化学名は3-(4-Carbamoy1-1-pyridiniomethyl)-7β-(D-α-sulfophenylacetamido)-ceph-3-em4-carboxylate monosodium salt, 分子式はC22H19N4O8S2Na, 分子量は554.52であり, 化学構造上, 7位の側鎖はSulbeniCillin (SBPC) と同じ, 又, 3位の側鎖はCephaloridine (CER) と類似している1)。
抗緑膿菌剤としてはすでにアミノ配糖体系抗生物質としてGentamicin (GM), Amikacin (AMK), Dibekacin (DKB) があり, ペニシリン系抗生物質ではCarbenicillin (CBPC), SBPCなどがあるが, CFSはCephalosporin系抗生物質としては最初の抗緑膿菌剤である。その特徴として緑膿菌に対し特異的に殺菌性抗菌作用を示し, 抗菌力はアミノ配糖体系抗生物質とほぼ同等で, SBPC, CBPCより10倍以上強く, 且つアミノ配糖体系抗生物質耐性の緑膿菌に対しても強い抗菌力がある2)。しかしその他の菌種に対する抗菌力はさほど強くない。又体内代謝ではほとんど不活化されず, 腎から高濃度に尿中に排泄される。
成人領域における本剤の基礎的研究並びに臨床使用成績は, 第26回日本化学療法学会総会 (1978年) 3) において, 又比較対照臨床試験成績4) でもその緑膿菌感染症に対する有効性と安全性が確認された。
今回, われわれは本剤を小児科領域の緑膿菌感染症に使用する機会を得たので, 血中濃度並びに尿中排泄を測定し, 又3例の緑膿菌感染症に使用した臨床効果について報告する。

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